【2012年9月アフリカ・ワイルドライフコミュニケーション取材記 ③】
◆アンボセリ国立公園 大いなる導きを信じて
アンボセリ国立公園は、キリマンジャロ山麓に広がる公園です。この美しい平原は、はるか昔、アフリカ最高峰キリマンジャロが噴火した際に、アンボセリ湖の水が干上がってできあがりました。そして、このキリマンジャロ山の雪や氷河が解けた水が地下から湧き出て、アンボセリを潤し、たくさんの命をはぐくんでいます。
しかし、近年アンボセリでは環境の両極化がすすんでいます。それは、サバンナの半砂漠化と湿地化です。北西部では、草地の割合が減り、裸地が多くなり、至る所に倒木やたち枯れた木などが見受けられるようになりました。半砂漠化が進む地域では、乾期になると特に乾燥がひどく、多量のほこりが舞い上がり、あちこちで竜巻が立ち上ります。逆に公園南東の"オルトカイ"地区近辺では、20年前には想像もできなかった沼地が出現して、水鳥たちがたくさん集まるようになり、雨季には洪水で道路の一部は閉鎖される状況になってきているそうです。
アンボセリは、約30年前私が訪れたときの姿とは明らかに変化し、試練の時代を迎えていると感じます。人による開発や動物の乱獲、地球温暖化など、様々なことがアンボセリの環境に影響しています。2009年にはケニアは史上最悪とも言われる大干ばつに見舞われ、アンボセリでは、シマウマとヌーの60%以上が死滅してしまいました。この試練の時代を迎えているのは、アンボセリだけではなく、アフリカ大陸、地球規模であると言えるでしょう。
しかし、大自然の時の流れの中で、大いなる時空の流れの中で、今の時代を見るのであれば、この試練も一つの過渡期であるということが感じられるのです。誤解しないでいただきたいのですが、私は決して環境破壊をそのまま見過ごしにしてよいと言っているのではありません。
以前、地球のメッセージをいただいたとき、地球の使命は、生命を徹底的に育んで、守りとおすことであり、人類がどんなに環境破壊をしてもそれは変わらないと教えていただきました。
そして、大干ばつの翌年の2010年にアンボセリを訪れたとき、ゾウたちは過酷な環境の中にあっても、自然の神はこの大いなる場所を守ってくれると信じている、と伝えてきました。
「正しい人生を歩んでいくのであれば、必ず大地は守ってくださると、私たちはそれを間違いなく信じているのです」
「私たちと同じように、自然と共に生き自然を守る生き方をするのならば、人間はもっと正しく、そして高い存在になることができるはずです」
そして、今回の旅では、ゾウたちは、偉大なる指導者であるゾウのスピリチュアルガイドの存在を教えてくれました。これまで危機的状況において、幾度もそのスピリチュアルガイドが彼らを助け導いてきたのだそうです。精神性の高いゾウのリーダーたちには、そのスピリチュアルガイドの存在や声を感じ取ることができ、その教えに従い、生き抜いてきました。
砂漠化と動物たちの減少は確かに深刻です。しかし、そのような環境にあっても、新たな命が生まれ、力強く生きているのも事実です。今回も、様々な動物や新しく生まれた子ゾウたちと彼らを守る母ゾウや家族と出会うことができました。彼らは、どのような状況であっても、自分たちを導き守ってくれる存在を信じています。そして、誠実にただひたすら、自分の人生を懸命に生きており、その姿からは絶望や悲しみではなく、強さや希望、生きることの神聖さが伝わってきます。
私たちも、現在の環境を憂い、不安になるのではなく、彼らのように、私たちを守ってくれている偉大な存在を信じ、その導きによってより良い生き方をすることができるはずです。試練を越えた先には、全ての生命が自然と共に生き、お互いを認め合える素晴らしい時代が待っていることを私は信じています。
2010年のアフリカゾウのメッセージはこちら↓↓↓
第165回 アフリカのメッセージ その3
第165回 アフリカのメッセージ その3
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