第215回 「創造・維持・破壊」のサイクル
あなたは今何を目指していますか?何を達成しようとしていますか?
「私」という狭い枠の中でその目的を終えてはなりません。
自分だけ繁栄するというのは、生命の本来のあり方とは大きく違ってしまうのです。植物も動物も、全ての生命は「私」という生命が生まれたら、今度はそれを次の世代へ伝え、後進に受けついで行きます。
川にサケが上り、彼らはただただ一心不乱に目的地を目指し、そこで産卵をして、受精をして、次の世代へと生命を伝えていきます。彼らはその身をボロボロにしながらも、懸命に遡上します。その姿は感動的であり、自分自身を全部完全になくして、新しい生命のために捧げます。産卵を終えたメスは全ての力を使いきると、朽ち果てていき、その身は川を豊かにし新しい命を支える礎となるのです。
自然の中の美しさはそこなのです。それが、「創造・維持・破壊」のサイクルなのです。
我々人間は残念ながら繁栄だけで終わってしまっています。自分たちが栄えれば良い、自分たちが豊かになれば良い、自分たちだけが幸せになれば良い、その後がないのです。これが、今の人類の大きな問題です。我々の考えが及ぶのは、せいぜい、自分の子供や自分の孫に財産を残すことぐらいです。人類全体とか地球全体の命をつなぐことには考えが及びません。ですから、我々はもっともっと自然から学ばねばならないのです。