第154回 人生の道しるべ
今年もまた、夏の甲子園大会が始まりました。数十年前、私は沖縄でひたすら甲子園に出場することを夢見ていた野球少年でした。地方予選の準決勝で、私の学校は現在も甲子園に出ている興南高校と対戦し、惜しくも4対2で敗れ、私の高校の野球生活は終わりを告げました。その後、私はパイロットを目指し、航空大学の受験をしましたが失敗し、ようやく獣医科大学に入って獣医師となり、専門学校での仕事を経て、動物病院を開業し、現在へといたりました。
今から思うと、その当時の願いはほとんど叶わなかったように思います。獣医師になった当初の目的は、動物園で働くためであり、それも全て夢に終わってしまいました。当時、失敗の連続であった私は、「なぜ自分の夢は叶わないのか」、「目標が達成できないのか」と、ずいぶん悩んだものです。しかし、今振り返ってみると、すべてが望んだ様にならなかったのは、私にとっては有り難いことであったと思うのです。
人生の使命を知った今では、あの時の夢が実現しなかったのは、そのことによって、本来の道を歩めるよう、大いなる存在が「道しるべ」を作ってくれたのだと感じています。その場限りの目標や夢は、あなたの本当の目標、すなわち使命に対する思いを鈍らせてしまうことさえあるのです。
大切なことはただ一つ、あなたが今世の使命を見出そうとするならば、そしてその道を歩むならば、必要なものはすべて必要な時に与えられると知ることです。