2011.05.08
クロサイの男心
ぼくと彼女は仲が悪いわけではありません。
今までの力関係を改善しようとして、ぼくがオスとしての力を見せて、
彼女もそこに従うという気持ちになったのです。
決して、彼女を徹底的にいじめることや、
あるいはやっつけるという意志はありません。
彼女もそのことをわかっています。
今はお互いがその関係を築いて、よりつながりを持とうと考えています。
できるだけ早く、一緒にしてもらうことがぼくの願いです。
~クロサイ・オスのメッセージ~
男としての愛情を示すことは時に激しさも伴います。そのような強さがあるからこそ、大切な存在を命懸けで守ることができるのです。
このメッセージを伝えてくれたオスのクロサイは、以前は放飼場にメスと2頭でいました。その時は、互いを強く意識して、接近しすぎると威嚇し合い、時には角をぶつけることもあったそうです。そのような時は、彼が引き下がることが多かったのですが、やがて彼の方が力を示し、メスが怪我をして出血するようになりました。
そのような理由で別々に飼育されることになったクロサイたちですが、彼のオスとしての思いは、単純な力の勝ち負けではなく、深いところにあったのです。
野生のクロサイは、藪地や森林に生息し、低木の葉を食べながら、単独で生活します。かつてはアフリカのサハラ以南全域に生息していたクロサイですが、商業目的の密猟が原因で絶滅の危機にさらされています。野生のクロサイは母子を除いて単独行動を取り、オスもメスも一頭ずつで暮らすため、時には縄張りをめぐって戦いをすることもあります。
しかし、このメッセージを伝えてくれたオスは、メスと共に過ごすことを望んでいました。二人が一緒になり素晴らしい絆を見せてくれることを願っています。