2010.10.16
アフリカ 取材旅行その4
◆Amboseli National Park-- アンボセリ国立公園
アンボセリ国立公園は、ケニアのリフトバレー州にあり、キリマンジャロの裾野にひろがる広さ392km²国立公園です。アンボセリ国立公園に近づくにつれて、キリマンジャロの雄大な姿が見え始め、期待と興奮で胸が高鳴ります。
サファリカーがサバンナを走る中、キリマンジャロが黄昏に浮かび上がる
アンボセリ国立公園は、ヘミングウェイが『キリマンジャロの雪』を執筆した場所としても有名ですが、現在、そのキリマンジャロの山頂付近の氷河は、わずかに残っているのみでした。悲しいことに、私たちが今回アンボセリを訪れて、まずはじめに気づかされたのが、地球温暖化や環境破壊の影響でした。
「キリマ(kilima)」はスワヒリ語で「山」、「ンジャロ(njaro)」はチャガ語で「白さ」であり、「白く輝く山」を意味すると言われるキリマンジャロ・・・・・・。二十数年前、高江洲代表がアフリカを訪れたころのキリマンジャロは、まさにその名に相応しく、白い氷河をもっていたそうです。しかし、今は頂上付近にわずかに氷河が見えるだけでした。あるアメリカの研究グループによると、氷河の減少ペースは、20世紀前半よりも2.5倍加速しており、温暖化が続くと2022年から33年の間に完全に消失する可能性があるというほど、氷河の減少は深刻なのです。
さらに、干ばつの影響で2年ほど雨の降っていないアンボセリでは、著しく砂漠化が進み、いたるところで草がなくなって、地面がむき出しになっていました。「動物の数が圧倒的に少なくなっている・・・・・・」、と高江洲代表はショックを隠せないようで、さみしそうに砂漠化が進む大地を眺めていました。
代表が驚くほど砂漠化が進み、動物たちがすくなくなったアンボセリ。キリマンジャロの氷河もわずかに見えるのみ。
ガイドのサミュエルさんの話では、今年の2月には、干ばつの影響によって、8割の草食動物が死亡し、生態系にも深刻な影響が生じているとのことでした。また、エサ不足で肉食動物が人里を襲うのを避けるため、野生動物保護当局は、エサとなるシマウマやヌーの移送が行なっているそうです。野生の王国も、もはや人の手の介入が無いと、バランスを保てないほどにダメージを受けているのでした。
環境破壊・地球温暖化の影響が、私たちの知らない間に、かつては豊かだった野生の王国を脅かしている・・・・・・。その事実を肌で感じ、申し訳ない気持ちと、何かできることは無いのかという思いで胸が痛くなりました。
このメスライオンは発信機をつけている。ライオンをはじめとする肉食獣も数が減っている
動物が少なくなったとはいえ、公園の奥へ進むと、次第に色々な動物たちの姿が見え始めます。動物園でしか見ることのなかった動物たちが、目の前の野生の大地で生きている・・・・・・。その感動と興奮は、言葉では上手く表せません。ガイドのサミュエルさんが丁寧に解説をしてくれるのを聞きながら、気がつくと私たちは、姿を見せてくれる動物たちの貴重な姿に感嘆の声をあげていました。
「シマウマのシマは、かたまっているとごちゃごちゃ見えて、そうすると肉食獣は特定の固体を選びにくなるんだ。彼らのシマは、カモフラージュのためだけではなく、どれを狙ったらよいのか、混乱させるためでもあるんだ。そして、人でいう指紋のように一頭一頭の模様は、違っていて、相互認識のためでもあるんだ」
サミュエルさんの明快で興味深い説明に、時を忘れて動物たちを眺めていると、あっという間に日は沈み、ロッジへと到着していました。
美しい縞模様を見せるシマウマ。その模様は驚くほどサバンナの夕暮れに溶け込む
アンボセリに沈む夕日
夜には素晴らしい星空が輝く
厳しい状況にあっても、動物たちは淡々と力強く生きている姿を見せてくれました。そして、あくる朝、3頭の雄ゾウたちが、代表とのコミュニケーションを通じて、私たちに人間に生きるべき道を示してくれたのです。
ゾウたちのメッセージは365日のメッセージにて、ご紹介しています!